「やがて君になる。」最終話感想

※1 ネタバレがあります。ご注意ください。

※2 筆者の最終話鑑賞直後の感想ですので、1話からの作品解説やその他諸々省略しております。

 

 

やがて君になる。」のアニメ版を見終わりました。今期は「色づく世界の明日から」などすごい作品が他にもありましたが、なんとなく印象に強く残ったのはこの作品ですね。

 

主人公がはじめ百合の世界に誘われ、そのまま女の子同士の恋愛で最後まで行くのかな、と思いましたが、終盤に近づくに連れて一人対一人(実際には周囲の人間を合わせて)の人間同士のお話になり、いい意味で度肝を抜かれました。ああこういう恋愛物語ってのもあるんだな、と。

 

最後の回で、原作通りかはまだ読んでいないのでわかりませんが、侑の「先輩、乗り換えですよ。」という言葉が、これまでの「誰かのあとを追うレール」から「自分だけの新しいレール」への乗り換え、という意味に取れてとても上手な表現だな、と思いました。

 

アニメ版の切れ目としても、電車のドアの開いた先に暖かな光が迎えるように描かれていることが、優しさや祝福を描いているようで素敵ですね。

 

原作はまだ5巻までしか読んでいませんが、続きが読みたくなりました。

ブログを始めるにあたって

 こんばんは。はじめまして。

ここ10年くらいは小説をあまり読んでいなかったのですが、昨日久しぶりに森登美彦さんの「夜行」という小説を読みました。

 

夜行

夜行

 

 

きっかけは、親戚がダン・ブラウン氏の「オリジン」を読みたいので買ってきてほしいと頼まれたことです。ブックオフに行って、たまたま目に入り、久しぶりに読んでみようかなと買いました。

オリジン 上

オリジン 上

 

 最初に言ってしまうと、怖かったです。(怖いだけじゃなかったですが。)ホラーの要素があるということも知らなくて、装丁から見て「あー有頂天家族の作者だ。可愛いお姉さんが出てるし、軽快な恋愛物かな。そういうの好きだし読もうかな。」と考えて買いました。読み出したら、また京都からお話が始まったので、ああこれから楽しいお話が始まるのかな、知ってる地名が出てきたらいいな、失踪したお姉さんっていうのを集まった登場人物が語っていく切ない恋のお話かな、と思いました。

✳️以降ネタバレあります。

 

 ところが、第1章の始まりからいきなり不穏な話が始まって、第1章を読み終わってから怖かったな、あれなんかこれ想像と違う小説なのか。と思って次の章もまた読み始めました。これも怖い。3章も怖い。4章も5章も・・・という感じで怖いのがずっと続くんですね。森先生の作品は明るいというイメージしかなかったので、先生にはこういう面もあるのだなあと思って読み終わりました。

 ここから自分の印象に加えて、妄想を絡めてわかった風な口を聞いて書きますと、自分の実体験と重なる部分が多くて面白かったです。この本は各ホラー小説が章立てされて連作になっていて、最後は取ってつけたように出口ができています。そこだけ明るく終わっていたので、まるで6章まで連続して製作されて連結した列車の、一番最後の客車だけ後から新しく作られてくっつけたみたいな印象を受けました。同時に、人間の「生きる時間」を表現したかったのかな、と思いました。

 話の中で、岸田道生という芸術家の「夜行」という48の銅版画の連作が出て来るのですが、(各章の詳細は怖いので触れません)この対になる作品として、「曙光」という作品があることが語られます。ちょうどこの本のように、暗いテーマが連続して、最後に明るいテーマが出て来るんですね。「夜行」の世界では「曙光」が1作のみ出てきます。「曙光」の世界では「夜行」は1作のみ出てきます。

 闇と光の対比は、この作品でも出てきていたと思います。宇宙に浮かぶ地球、見ることができない闇、そして美しい青。青を際立たせる闇。物事を対比させる事で、一方がとても美しく見える。

 この本の登場人物たちは、闇から光の世界へ移動したり、もしかしたら逆に移動したりしていたのかもしれませんが、これは私たちの生きている現実と同じではないかと思いました。

 ある種の人は毎日を楽しく美しく生きている。元気一杯に、生命力を発散させるように生きている。けれども闇の瞬間もある。反対にある人は今は苦しんでいる、けれども闇を破る朝がその人にもやって来る。日々が光の人、日々が闇の人。両方いたり、両方が相互に入れ替わったりすると思うのですが、この本はそうした人が生きている時間について、読者の視点を読ませる事で入れ替えさせるという仕組みを作った箱なのではないか、と考えました。

 というところまで考えて、ああ小説って面白いなあと久々に思ってしまいました。全くぐちゃぐちゃの読みづらい文章ですいません。後日書き直す気になったらします。読んでくださった方ありがとうございます。

 本日は文章を整理していませんが、今度はちゃんと書きたいです。また時間があったら読んで頂けるとうれしいです。